イギリス旅随想まとめ MIND THE GAPの国
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    MIND THE GAP。
    ロンドンの地下鉄のホームには、どこも黄色あるいは白いペンキで
    でかでかと書かれています。地下鉄が停車するたびに、
    ”MIND THE GAP"とアナウンスもホーム中に響き渡ります。
    「すき間に注意」という意味ですが、イギリスという国のあり方を考えると、
    なかなか意味深い言葉に思えます。
    イギリス自体、GAPだらけの国だからです。

    もともとスコットランドと北アイルランドとイングランドの3つの王国が
    連合しているイギリス。それぞれの国では、何度か独立をめぐる争いがありました。
    3つの国の間には、いまだに深いGAPが横たわっています。

    折しも2014年9月、スコットランドは、独立を問う国民投票が行われます。
    http://www.afpbb.com/articles/-/2969152

    もし賛成派が勝てば300年にわたる連合王国は解消されることになります。
    GAPが現実のものとなる日が来るかもしれないのです。
    そうなったら、イングランドと共通の王を戴いているスコットランドは、
    「王国」ではなくなってしまうのでしょうか。
    目が離せません。
     
    国土にも大きなGAPがあるように、
    言葉にもGAPがあります。
    それは、異邦人には見えにくい階級のGAPに由来しているようです。
    ロンドンの大きな駅の清掃員や場内整理員の人は、
    Sundayを「サンダイ」、waitを「ウワイト」と、
    「マイフェアレディ」のイライザのように
    コックニー訛りで話す人が大勢います。
    最初は「は?」と聞き取りにくくて困りました。
    こういう人は生まれながらに労働者階級の人なのでしょう。
    サッカーのベッカム選手が余り人前で話さないのも、
    話すと育ちが分かってしまうからだと言われています。

    私たちがロンドンで滞在したメリディアンホテルは、
    地下鉄のピカデリー駅から2,3分の一等地にあるホテルでしたが、
    フロントの主任格の女性はイギリス人ではなく、
    (どうやら)スペイン人のようでした。
    その女性の英語たるや、Saturdayを「サットルルデイ」、
    roomは「ロウ〜ム」、Hは発音しないし、
    聞きにくいこと甚だしいものでした。


    (メリディアンホテル)

    スコットランド人の英語は寒い地方のせいか、
    くぐもって発音する人が多かったです。
    groupを口の中で「ゴロウプ」というような感じです。

    このほか、インド系の人の英語、黒人の英語、
    様々な英語が微妙なGAPを見せつつ共存しています。
    余り英語に堪能ではない私が一番聞きやすかったのは、
    コッツウォルズのプレーンな英語でした。
    ここはもう一度、ゆっくり訪れたい場所です。


    (バートンオンザウォーターにて)

    老大国と言われるイギリスは、もはや7つの海を制した勢いを取り戻すことはないでしょう。
    ストーンヘンジのような古代の遺跡からビクトリア朝時代までの歴史文物を
    観光資源として、また世界言語である英語の本家本元として、
    ブランド国であり続ける努力を必死にしているように思えました。


    (観光客のために深夜ライトアップしているバッキンガム宮殿)

    ヒースロー空港で、フライトを待ちながら、
    ふと、スコットランドで見たタータンチェックのマフラーを思い出し、
    あるかなと思いながら、(時間があったので)広い空港内のショップを
    くまなく探し回りましたが、どこにも見当たりませんでした。

       
             (ヒースロー空港内のショップ街)

       
         (スコットランドのタータン屋さん)

    「あ、そうだ、ここはスコットランドではない、イングランドだった!」
    イングランドにスコットランドの製品があるわけがないのです。
    まさに”MIND THE GAP"でした。
     
    空港の売店の雑誌のシェルフをふと見ると、
    ”OUR FUTURE KING WAS BORN"と大きな見出しと
    生まれたばかりのジョージ王子の写真が載っている
    週刊誌が何冊も並べられていました。
    スコットランドでは全く見られなかった光景です。

    まるでミニEUのような「連合王国」。
    つながっているけど本当は別の国。
    至る所に大小さまざまなGAPが横たわっている国、イギリス。
    興味が深まる頃、私たちは帰国の途に就きました。

    2014年まであとわずか。
    来年の9月以降、スコットランドはどうなっているのでしょう。



     
    posted by: shigemi11 | - | 22:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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