日本のハロウィンがバレンタインを超えた訳
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    「今日、ハロウィンなんで友達と飯食ってくるから、夕食はいらないよ」と、
    出がけに息子が言って出勤しました。
    「そう」と返事したものの、ハロウィンの定着ぶりに思わずため息が出た朝でした。

    今年は10月31日がハロウィンだそうです。

    世界的に見ると、アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダ、といった
    プロテスタント系の国がこのケルト由来の悪霊祓いの宗教的行事を行うようです。
    もっとも今では宗教的な意味合いは薄れ、みんなで楽しめるイベントになっています。


    商業的に見ても、秋商戦が終わり、クリスマス・新年商戦にはまだ早い
    10月後半は、消費が落ち込む時期でもあります。
    この時期に催されるハロウィンは、停滞しがちな消費を活性化する
    格好のチャンスといえましょう。

     
    2014年に発表された全米小売業協会の調査によれば、
    ハロウィンに関わる推定消費額は全米で74億ドル(約8000億円!)に上ります。
    しかも市場規模は拡大傾向にあるとか。
     

    日本でも最近はハロウィン関係の消費がバレンタインを上回ってきたそうです。
    バレンタインと言えば「チョコ」が主流で、販売単価もそれほど高額ではありません。
    (もちろん、一粒何千円もする驚く程高い商品もありますが。)

     
    一方、ハロウィンは「トリックオアトリート!」用のキャンディの他、
    とりわけコスプレ大国日本では「衣装代」がバカになりません。
    欧米のように家族や近所で楽しむというより、
    都会の大規模なパレードやパーティなどで若者同士が盛り上がる日本では、
    衣装代の経済効果もかなりのようです。


     




    サッカー観戦など大勢で盛り上がって騒ぐの大好きな最近の若者にとって、
    大手を振ってお祭り騒ぎができるハロウィンは格好のイベントなのでしょう。

     
    私はまた、この若者のはしゃぎぶりに日本の秋祭りのDNAを感じます。

     
    収穫を祝って神に感謝を捧げた秋の収穫祭。
    「秋祭り」の童謡にもあるように、村の鎮守様から聞こえる笛や太鼓の音に
    身も心も浮き立った昔のお百姓の感覚が無意識に蘇っているのではないか、
    とも思えてしまうのです。
    調べてみると、実は日本にもハロウィンによく似た「月見泥棒」という風習が
    あるのです。



    十五夜にすすきと団子をお供えする風習は全国にありますが、
    ほんの少し前まで(今でもやっているところがあります)
    子供たちがその団子を盗んでいい、という面白い風習がありました。
    いわば「和製ハロウィン」とでもいいましょうか。
       

    団子を盗まれた家でも、盗まれるのは大歓迎で、わざと盗まれやすいように
    玄関先に置いたりしたそうです。
    子供は「神のお使い」とされていたので、
    「盗まれた」=「神様が召し上がった」ということで
    盗まれるほど喜ばれたそうです。

     
    子供たちもこうした村の行事に参加することで、しきたりを学び、
    共同体の一員としての自覚と役割を身につけていったのでしょう。


     
    話をハロウィンに戻しましょう。

     
    かつてケルト人が異教であるキリストの生誕日を、
    ケルトの春の祭(冬至)とダブらせて祝ったように、
    今日本では、そのケルトの行事が
    昔の日本の秋祭りの時期に都会で若者に受け継がれているような気がします。

     
    ケルトを知らなくても、村の鎮守の秋祭りを知らなくても、
    若者たちは異形の衣装をまとい、街を非日常の空間に染め上げていきます。

     
    息子の話によると、ハロウィンの日の渋谷は、
    昼間からスパイダーマンやゾンビや魔女が「普通に」
    スクランブル交差点を歩いているそうです。
     

     
    日本のハロウィン、それは宗教なき時代の新しい祝祭のかたちなのかもしれません。

     
    ハロウィンにあって、バレンタインにないもの、それはこの「祝祭性」ではないでしょうか。

          
         (ノルウェー  サンタクロース村のクリスマス光景)
    posted by: shigemi11 | - | 14:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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